エニューオー(古希: Ἐνυώ, Enȳō, 「恐怖」の意)は、 ギリシア神話における女神またはダイモーンで、長母音を省略してエニュオとも表記される。

主に2人が知られており、以下に説明する。

殺戮の女神エニューオー

殺戮および戦闘の女神で、エニューアリオス(戦いの神アレースの別名)の女性形である。 ギリシア神話の争いの女神エリスと同一視されている。 またローマ神話のベローナと同一視されている。

エニューオーは「都市の破壊者」の別名によって知られる古代のケールあるいはダイモーンで、ヘーシオドス『ヘーラクレースの盾』に描かれたように、しばしば血にまみれ武器を携えた姿で描かれた。 アテーナーと名を並べて語られるほど強く恐ろしい戦女神である。戦争の神アレースの供として戦場に立ち、残忍な「キュドイモス(乱戦)」を従えている、 アレースの母とも娘とも姉妹とも様々に言われてきた。

パウサニアース『ギリシア案内記』1巻8章4節では、アテーナイのケラメイコスにはアレースの神殿があり、祭神アレース像、アプロディーテー像、アテーナー像と並び、プラクシテレースの息子たちが制作したエニューオー像があったとされる。

グライアイのエニューオー

ポルキュースとケートーの娘であるグライアイ姉妹の1人で、ゴルゴーンの姉妹でもある。

ヘーシオドスの『神統記』ではグライアイはペンプレードーとエニューオーの姉妹であり、頬美しい老女で灰色の髪をしており、エニューオーはサフラン色の衣を纏っている。

ヒュギーヌス『神話集』序文ではペンプレードー、エニューオー、ペルシス(またはデイノーン)の姉妹、アポロドーロス『ビブリオテーケー』ではペンプレードー、デイノー、エニューオーの3人の姉妹をグライアイと呼び、生まれながらに老婆で、3人は一つの目と一つの歯を持ち、互いに共有していたが、ゴルゴーン退治のため英雄ペルセウスは「翼のあるサンダル・キビシス(ゴルゴーンの首を入れるための袋)ハーデースの兜を持つニュンペーの居場所」を尋ねるため、彼女たちの目と歯を奪い、道を示すまで返さなかった。

詳しくはグライアイの項を参照。

脚注

参考文献

  • アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
  • ヘシオドス『神統記』廣川洋一訳、岩波文庫(1984年)
  • ホメロス『イリアス(上)』松平千秋訳、岩波文庫(1992年)
  • パウサニアス『ギリシア案内記』 馬場恵二訳 岩波文庫
  • ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』 松田治・青山照男 訳 講談社学術文庫
  • 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店(1960年)

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